皆さま、この春はどのようにお過ごしでしたか?
桜は楽しめましたか?
通訳案内士の資格を取った方々はデビューできましたか?
空前の繁忙期3-4月を振り返る
私は3月と4月は仕事を入れ過ぎましたが、やはりキャンセル等があり、3月は20日間、4月は25日間勤務となりました。4月は5日の休みがあったけど、終わったツアーの精算と次のツアーの打ち合わせがあったため、実質は休めませんでした。
今年は空前の繁忙期のため体調管理が心配されたけど、疲労が足腰や胃腸に負担をかけることはありませんでした。が、3月には風邪をひいてしまいました。それでも喉をつぶすことはなかったです。これはラッキーでした。
激務により喉をつぶして声が出なくなるのは、まあまあ聞く話ですが、代わりのガイドが見つからない、これが今春の繁忙期の特徴ですね。
そしてツアー中のミス。私は心して臨んだためミスはなかったです。
ミス多発でずさんな手配
エージェントの手配ミスはありました。これは大手も零細エージェントもです。
レストランの人数が違っていたり、観光バスの手配がされてなかったり、ということですが、理由はツアーの担当者が「忘れてた」とか「抜け落ちていた」ということらしいです。しかし我々ガイドが早めにコンファーム(確認電話)をしておけば”早期発見→解決”となることも多いですね。
エージェントのミスは責めない
ツアー担当者のミス、これを責めてはいけません。私は一応本人に知らせますが長年世話になってるエージェントの担当者は責めはしません。
「○月×日の▲▲市内観光ですが、◆◆観光バスの予約が取れてなかったので手配してもらいました」
こんな風に”もう解決しました”的に伝えます。
人数的にバスは必要だし、旅程にもそう書いてあるので自分の判断でバス会社にお願いしました。これは長年の経験から来る自信です。担当者も「ああ、ごめんなさい!手配してくださりありがとう」となります。バスの台数も限られて繁忙期には足りなくなるので早めが大事です。
が、新人さんは自分で判断せずにエージェントにお願いしましょう。「○日のバス、予約入ってないそうですが…」と言えば担当者は「えっ!すみません。すぐ手配します」となります。
この時に鬼の首を取ったかのように「予約入ってないんだけど!?どうなってるの?」と言わない方がいいです。(新規参入のだらしない会社なら「オタクどーなってんの?」となるかも知れませんが…)
もちろん、現場の人間からすると手配されてないのは頭に来ます。が、ツアー担当者は4つも5つもツアーを抱えてるので、まあ解決したのなら他人のミスを責めないということです。
ガイドだって実はやらかしてる
というのはガイドも長年仕事をしてればミスの一つや二つしちゃってるんですよね。
30年間まったくミスしなかった人なんているのかしら?と私は思います。みんな言わないだけ。私だって「やっちまった!」のは幾つかあります。でもエージェントの中にはガイドを責めないツアー担当者さんもいました。
私があるミスをした時、早朝出勤の社員から「あんた、何年やってるんだ!」と𠮟られました。
が、思ったより大事に至らず旅程には影響が出なかったのです。そして昼食後の手が空いた時に担当者に電話して事後報告をしました。当然謝罪しました。すると担当者は「ぶはははは!」と大爆笑してその話は終わってしまったのです。てっきり私は怒られると思っていたので本当に救われました。
この時私は、ちょっとした事がよく抜け落ちるこの担当者に対して「彼のミスを責めるのはやめよう。問題が解決すればそれでいいのだ」と心に誓いました。
一番損害の大きかったミス
と言ってもこれは、その時の私のミスが致命的でなかったからのお話ですね。
かなり前のことですが、あるツアーの担当者が「このツアーの構成や旅程の組み方を改善したいので、今回同行させて下さい」ということで私のツアーに乗ってきました。
30代の感じのいい女性です。バスの中では寝てしまう担当者が多い中、しっかり起きて観光箇所の時間配分や、お客様の反応、バスの乗務員さんの感じなどをメモしてました。
すっかり仲良くなった彼女といろんな話をしました。そこで私が一番聞いてみたかったこと、「ガイドのミスの中で、エージェントにとって一番最悪なものって何ですか?」と聞いてみました。すると…
「私が担当したツアーの中で一番困ったのは特急列車の団券の紛失です」
ああ、なるほど。どの地点の紛失かにもよるけど、旅程のほとんどが列車使用で、ツアーの早い時点での紛失ならば、人数によっては百万円を超えることもあります。
団券というのは新幹線等の団体予約のチケットで、A4の用紙に電車の予約状況(日付、区間、列車名、時間、号車、人数、座席番号、合計金額)が書かれていて、A4の用紙が何枚もホチキスで留められている。つまり「全行程の列車のチケットがまとまっている団体専用乗車券」というわけです。
正直言って、この団券は持ってるだけでドキッとします。
いつの間にかなくなっていた…?
内陸のバス移動が続く時、たとえば北陸や中山道など3,4日間電車に乗らずに過ごし、いよいよ明日は特急電車で名古屋から関西へ移動という時、前夜に新幹線の団券がないことに気づく…、これは考えただけでぞっとします。が、案外と起こりうることなんですね。
その担当者曰く 、団券紛失は彼女が入社してから何度かあったと言います。そしてみんな共通するのは、”ガイドがいつ、どの時点で失くしたか不明である”ということです。
これを聞いて「ありえるな」と思いました。
そして私は派手な蛍光色のファスナー式のファイルを買ってきました。ファスナーのところに目立つマスコットを付けました。バッグの中にはマスコット君がいつもいるのが当たり前で、「その子がいなくなった→これは一大事!」な状況にしたというわけです。
書類を捨てる時は要注意
そして紛失したというのは、何かと間違えて廃棄した可能性もありますね。私は学生時代、ある大手信託銀行に入力のバイトに行ってたのですが、そこでは「封筒はそのまま捨てない。中を開きながら破いて捨てる」という厳しいルールがありました。これを私の生活にも取り入れました。
これだけ気を付ければ大丈夫でしょう。ということで団券紛失は私には起きていません。が、この話を聞かされなかったらおそらく誰にでも起こりうる、ということです。聞かされたおかげでより一層、団券の存在と、失くした時の損害の認識を深められたわけです。
団券紛失、波及するその他の損害
さて団券を失くしてしまったガイドさんはもちろん責任を感じて「私が弁償します」と言ったと思います。間違いありません。「明日の分は私が今から駅に言って買ってきます」と…。
が、問題はその翌日の特急列車や新幹線がすでに満席のことが多く、とくに日本人で混み合う時期は予定してた列車は前日は一席も空いてないこともある、ということです。
となると旅程も大きく変わります。その都市で午前中観光してランチを食べて14時台の列車に乗るはずがすでに満席!それ以降の列車だと到着してからの夕食が間に合わない。14時前の列車だとランチを早めないとならないが、レストランは30席も空いてない!等々…。
結局別のレストランを探すのはエージェントです。キャンセルするお店にはキャンセルチャージがかかります。団券がないことに気付いたのが深夜ならもうどうしようもありませんね。考えただけでこれだけの損害が出てしまい、それはお金で解決するだけでは済まないのですね。
他人のミスは誰にでも起こりうる
友人のガイドにこの話をすると「実は私も東京メトロでバックを無くし、その中にお客様のチケットが入っていて…」と過去の失敗を話してくれました。が、東京メトロに問い合わせたら出てきたそうです。
「そうなの、言わなかったけど私もやっちゃってるの。運がよかったから大事に至らなかっただけ」と彼女は言う。そう、みんなやっちゃってる。実は私だって…、運が味方してくれたのだ。
というわけで今回も長くなりましたが最後まで読んでくださりありがとうございました。
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