G-ZRD88RV0FB お客様に会ってから決めるくらいがいい。準備し過ぎて押しつけになることも。 - 通訳ガイドのオモテナシ奮闘記 by ばるばら

お客様に会ってから決めるくらいがいい。準備し過ぎて押しつけになることも。

通訳案内士

ガイドが集まるSNSには様々な質問や経験談が寄せられます。
「××に初めて行くのですが…」
「こんなお客様で困りました」などです。

そんな時、経験が少ないガイドのアドバイスほど
「そこでは必ず●●と案内するように決めています」と断言します。

ベテランはみな無言になります。
お見せするスポットや説明内容は状況で変わるし
同じになることって殆どないのですが…。

型にはまった案内は押しつけになりますし
説得力がなく逆効果ですね。

お客様は十人十色

観光地の混み具合や、時間の押し具合、天候で状況は変わります。
全く同じようになることはないのです。

もちろん新人の場合は不安要素の方が強いから
前もって決めておいてもいいと思います。
そうすることでやり易くなることもあるでしょう。

が、もしお客様が●●に興味がなかったら△△に変更する、
などのオプションを用意しておいた方がいいですね。

でないとご案内の押し付けになってしまいます。

新人のデビュー戦、準備するのはいいが…

通訳案内士の資格を取ったばかりの友人がいます。
ある日「初仕事が来た」と嬉しそうに連絡が来ました。
聞くと15名のグループの空港への送りの仕事だそうです。

そのグループにはスルーのガイドさんがいたのだけど、
病欠ガイドの代わりに別のツアーに行かなくてはならず、
帰国日の成田空港の送りだけピンチヒッターが必要になったとか。

アシスタントでもいいのですが、本来はガイドがやる仕事だったので
別のガイドさんに、ということで新人の彼女に白羽の矢が立ったそうです。

私は空港の送りだから気楽にやれば?と言いましたが
友人は、しっかり準備して臨むとやる気満々です。

「当日は小紋を着ていこうかな」
「成田まで2時間あるので折り紙講習をしようかと…」
「日本語の歌”桜”を歌ったらどうかしら?」

私は「すべてやめた方がいい」と言いました。

帰国日のお客様は意外とナーバス

まずツアーの最終日だけアサインされたガイドだということを忘れないように。

そして帰国日の業務内容は空港への送りです。
つまりセンディングスタッフくらいのつもりがいいです。

お客様も帰国日はそわそわしてることが多いです。
なるべく早く空港についてチェックインしたいと思ってます。
もはや文化交流はどうでもいい人も多いです。

折り紙よりも
 バゲージは大丈夫?
 超過料金取られないかな?
 私はオンラインチェックインできてない…
など、anxious(心配な)といった様子です。

折り紙、歌、着物、TPOを考えて

🔹日本の歌
成田までの道中に歌を披露することはあまりないですねえ。
日本の歌を披露するのは旅の中盤の、バス移動に時間がかかる日が望ましいです。
帰国日にたまに歌うこともありますが、私一人が歌うというより、
グループ全員で歌うことが多いです。仮にガイドが歌うにしても、
全日程をスルーで案内して仲良くなったからこその最終日だからです。

🔹折り紙講習
スルーガイドであっても、折り紙講習をするタイミングは難しく
お客様の様子を見て行うようにしています。
車の中で折り紙をするというのは非常に疲れるし、
下を向けば車酔いをするお客様もいるからです。

私の場合は富士箱根観光の日が多いですねえ。
長距離移動のバスの中でレクリエーションみたいな感じです。
それも富士山の折り紙の一番簡単なものを、希望者のみ参加します。

が、参加しない人、つまり富士山の折り紙を折らない人は
見て頂いても楽しめるように工夫しています。
折るだけでなく、説明を聞いても「なるほど」となるような
日本文化や日本人気質が理解できるように出来ています。

となると折り紙はレクリエーション的な日が向いてますね。
帰国日の目的は”確実に飛行機に乗ること”ですので。

空港への道中にガイドからのプレゼントで折り紙を配ることはあります。
それは富士山観光の日、折り紙講習をできなかったからです。

🔹着物
空港業務は結構歩きます。私はヒールやスカートもはかないです。
お客様のお荷物のケアもあるし、カートを探しに走ることも…。

が、普段から着物を着て生活してるのなら大丈夫でしょう。
ただ前述の友人は着物を着なれてる人ではないので
「やめた方がいい」とアドヴァイスしました。

だんだん疲れてくるお客様

人にもよりますが、ツアー後半は肉体的にも疲れるのですが
日本文化事態に疲れてくるお客様、結構います。

最初のころは「日本に来たのだから和食を食べなきゃ」と
張り切っていたのに、途中から明らかに無理してるご様子で
最後の方にはウンザリして不機嫌になる人も多いです。

そんな人が主流なグループではお客様の感情は伝染します。
グループ全体が同じような反応を見せるのです。

そして帰国日の朝は本当にうれしそうです。
そんなお客様には折り紙も歌もなくてもいいかな、と思います。

しかし当日のお客様の様子を見て…

もし皆さま穏やかそうで、日本のバカンスを本当にエンジョイされ
「わたし帰りたくない、もっと日本にいたい!」タイプのお客様なら
用意した歌を披露させて頂いてもいいかもしれませんね。

成田空港に着く直前でなく、もう少し早めがいいです。

一言、言いましょう
「皆様、あと少しで到着します。
日本の滞在は慌ただしかったと思いますが、
エンジョイして頂けたなら嬉しいです。
日本のことを忘れないでくださいね。
私は本日だけのアテンドですが何かのご縁です。
ぜひ日本の歌をプレゼントさせてください」

大きな拍手を頂けるかもしれません。
そうなれば初仕事は大成功ですね。
そして空港に着いたら一生懸命アシストすればいいのです。

出発日にガイドを付ける理由

帰国日の空港の移動はガイドを付けないお客様は多いです。
自分たちだけでホテルを出発して、空港でチェックイン
世界中どこの空港も同じようなつくりなので可能ですね。

ガイドを付ければ旅行代金も高くつきます。
なのにわざわざガイドを付けるのは、不安だからですね。
道中に何かあったらどうしよう、空港で迷ったらどうしよう
そんな気持ちからです。

そんな日のガイドの業務は
・確実にバスが来ていること
・時間通りに出発すること
・道中は渋滞などなくスムーズに移動
・無事にチェックインして出国
これさえさせてあげればいいのです。

この日は実務の日であり、
文化交流やレクリエーションの日ではないんですね。

ただ、100分の1の確率があるかも知れません。
なのでやはり決めつけないのが一番ですね。

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