G-ZRD88RV0FB 旅先で手癖が悪いお客様。みんなやっちゃう出来心。でも見てる人がいます。 - 通訳ガイドのオモテナシ奮闘記 by ばるばら

旅先で手癖が悪いお客様。みんなやっちゃう出来心。でも見てる人がいます。

通訳案内士

昔の日本人もありましたねえ。
旅の恥はかき捨て?

ヨーロッパの高級ホテルのバスローブや
飛行機の機内食用のフォークを持ち帰ったとか。

いずれも相当数の日本人観光客が世界中を旅行してた時代です。

今は日本人は余り海外に行かなくなり
入れ替わるように外国人観光客が日本に押し寄せ
ホテルのアメニティ以外の備品が部屋から消えるとか
報道されるのを目にします。

箸置きが消えたレストラン

京都のあるレストランは町家づくりで雰囲気がよく
お客様も靴を脱いで召し上がるそのお店を喜んでました。

その後聞いた話では、インバウンド客が来た後は箸置きが消え
あれよあれよという間に店の箸置きがなくなってしまったとか。
以降その店はもう箸置きは仕入れず、お客様に箸置きは使用しないとか。
私はそれでいいと思います。

使い回しの箸?そんなのやめておけ

お客様の中には純粋に「この箸はもらっていいの?」と、
飲食店の箸について訊く人がいます。
箸はプラスティック製なので本当にわからないようです。
飛行機のプラスティック製ティースプーンが使い捨てですものね。

この時の私の返答ですが、お客様が純粋な場合は
「残念ながら持ち帰れません。
 お気に召したなら後で買いに行きましょう。
 プラスティック製なら100円で買えますよ」と言います。
 純粋なお客様を傷つけたくないのです。

が、客がいかにもずるそうに
「ねえ、あなた、この箸もらえるのよね」と訊かれたら
「いえ、食器と同じです。洗ってまた使います」と言います。

ずるそうな笑みを続け
「一組くらいバレやしない。一組なくなっても何も変わらない」
 みんな自分だけと言うけど、気づくと大量に減ってるんです。

私「え~っ!新品の方がいいですよ。
  こんな何百人ものオッサンが口にくわえた箸なんて!」

実際はこんな言い方はしません。
というのは今食べたご飯がまずくなるからです(笑)
これを言うと他の人まで自分が口を付けた箸をまざまざと眺めます。

なので実際はもう少しソフトな言い方をします。

京都のホテルの浴衣が消え、添乗員が激怒

広島である新婚さんが、
「京都の旅館の浴衣、アレもらってよかったのですか?
 なんか皆さんもらってるみたいなことを言ってました。
 私たちは知らなかったのでもらわなかったんです」
 と言ってきました。

聞くと最初にある人が「もらえるのでは?」と言い
それに従い「ならば私も」「僕も」となったようです。

私が答える前にベテラン添乗員のKさんが、
「えーっ!なにぃ⁉それ本当⁉
 何人の人が貰ってきちゃったのかしら?
 もちろん持ってこなかったあなた達が正しいです」
 と怒りを露にしました。

Kさんは本国から同行してる添乗員で大ベテランです。
自分の客が他国の文化や習慣も無視したり
無知ゆえにヒンシュクを買うような行動は許しません。
世界中で「●●人はまったく」と言われないような
スマートな旅行マナーの向上を目指しています。

お見事(拍手!) 浴衣を全員に返させた

KさんはA4サイズの用紙に
「京都の〇〇ホテルの浴衣をもらってる人、
 あれはタオルと同じでホテルの所有物です。
 すみやかに浴衣をランドリー袋に入れ、
 今夜私の部屋のドアノブに掛けて置いて下さい。
 名乗る必要はなく、浴衣が戻ればそれでいいです。
 浴衣はホテルに送り返します」と書くとコピーをして
 すべての部屋のドア下に滑り込ませて置きました。

そして翌朝、ドアのノブには6組12枚の浴衣があったそうです。

彼女はそれらを自腹で宅配便で送りました。
「お客様が勘違いをして申し訳ありません」との謝罪文と
自分の名前とツアー名を書いたそうです。

私はこれを見て感動しました。
翌朝はグループの半数が少し恥ずかしそうでした。
が、Kさんは観光客が旅先でテンションが上がりすぎて
羽目を外したり勘違いしたりする心理も知っています。

誰にでも起こりうる事なので浴衣が戻ればそれでいい
彼女の目的はそこでした。人を責めることではありません。

宴会場の夕食にご自分の浴衣で現れたお客様。自分以外のオッサンが
何百人もが着た浴衣ではなく、真新しい、自分のものが欲しい!と。
そう!そういう事なんです(拍手!)

あの時のお客様は今日もどこかの国を旅行してるでしょう。
が、ホテルの備品を持ち帰ることはもうないでしょうね。

Kさんはもう70代。ここ数年は見なくなりました。
退職されたのかな?

お客様を責めずに問題を解決するその姿勢
学ばさせて頂きました。

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