通訳案内士の試験に合格して登録番号をもらったら、その後どのような準備をするかによってペーパーガイドになるか、稼働するガイドになるか道が分かれます。
合格証と登録番号は通訳案内士の証
ノンライセンスガイドはもはや違法でない今、資格がなくても旅行会社に売り込める時代。
確かにそう。でも大手旅行会社など昔から外国人の国内旅行を扱って来たような経験のある会社は意外にも「お仕事は通訳案内士さんに」と思ってるところが多いです。
なので資格を取った今、自信を持って就職活動できますね。
売り込みツールである名刺や履歴書にこの通訳案内士の証である登録番号を堂々と記入して、通訳案内士であることをインバウンドブームの最強のは武器にしましょう。
繁忙期にデビューを目指そう
一年間のうち繁忙期はいくつかあり、桜のシーズン、イースター(復活祭)、夏のバカンス、紅葉、年末年始など。大事なのはその繁忙期のどこかに照準を合わせ、準備ができてるようにしておくことです。
最初の繁忙期は3月から4月にかけての桜のシーズンやイースター(復活祭)です。ガイド不足の旅行会社からいかに「最初の仕事の依頼」をもらうか、ですね。
ベテランガイドで回してる旅行会社でも絶対にガイド不足になるようなシチュエーションがあります。特に今年は空前の人手不足です。そこで下記5選を高い精度で準備しておくことで連絡をもらえる結果につながるかもしれません。
資格を取って日も浅いのに?と思われるかも。
例えばよくあるのは、旅行会社に新たなツアーの依頼が来て、初日が私のツアーの最終日と重なってしまうのですが、「最終日の空港への送りは他のガイドにやらせるので、その日からこちらのツアーをお願いします」とか、このように新しいツアーを新人に割り当てるのではなく、簡単な方を新人に、難しい方をベテランに任せ、全体的にガイドをずらして微調整をすることがよくあります。
🔸小さな仕事の成功は信用につながる
空港の送りだけやってくれるガイド、繁忙期ならベテランガイドは誰一人空いてませんね。そんな時、新人ガイドが空港の送りを引き受けてくれるなら、私も安心して次のツアーに専念できますし、一番ほっとするのは旅行会社のアサイナーです。
旅行会社も最初から大きなツアーを新人にアサインすることはありません。が、スポット的な仕事1件だけでも上手にこなしてくれれば、責任感のある人、丁寧なお仕事をしてくれる人、といった印象になり、今後の繁忙期ではお仕事をお願いしよう、となるのは間違いありません。
当たり前のことを抜かりなく準備する
🔸抜かりなく準備すること5選
①取っ掛かりとなる名刺
②キャリアが見える履歴書と職務経歴書
③新人研修に参加
④旅行会社とつながる
⑤本番で使える下見をする
すべて特別なことではありません。が、ライバルもみな同じ動きをするのですから、その中でいかに考えて行動するか、そして自分らしさを出すかなど、工夫をした人としない人では結果は違うと思います。
記憶に残る名刺
旅行会社のツアーのアサイナーにお会いするチャンスがあれば、まず渡しやすいのは名刺です。
面接ではなく何かの集まりで、それも時間もない立ち話なら履歴書を渡すのは不可能です。なので通訳案内士の顔となる名刺を作りましょう。
繁忙期に急遽ガイドが必要になった時、登録してるガイド全員に電話しても誰も空いてない!という状況の時に新人ガイドの名刺が多数手元にある際、選ばれるのは誰でしょうか?私がツアーのアサイナーなら「この人、大丈夫か?」と思う名刺には連絡しません。印象に残らない名刺です。「どんな人だったっけ…」と面接したかも覚えてないような人です
(ここだけの話…私もガイド忘年会でもらった名刺を見て「●●語の〇〇さん?どんな人だったかな」と思う名刺が数枚あります。名刺と記憶がつながらない人。が、彼らはもうお仕事をしてるのでその名刺で問題ありません。が、まだ仕事を得てないガイドならそれはとても損なことです)
一方で、やる気が見えてくる名刺、オーガナイズの良さを感じさせる名刺もあります。「この人できそう」とか、「この人は責任感ありそう」オーラを感じる名刺です。顔写真も笑顔が感じよく、面接した際の記憶が思い起こさせる名刺です。
この人に連絡してみようか、と思ってもらえばこっちのもの!次は説得力のある履歴書と職務経歴書がモノを言います。
見やすい履歴書と具体性を示す職務経歴書
名刺が「取っ掛かり」だとすると、仕事のキャリアの詳細を示すのが履歴書と職務経歴書です。
私は履歴書は自己流です。よく売ってる履歴書の雛形はあてにせず、自分の職歴や海外在住経験、学歴が一目で見えるように設計してあります。古いことから書いていく日本式ではなく、新しいものから書く欧米式になってます。特に直近の仕事は一目瞭然にしてあります。
🔸人間性が見える履歴書を
平べったい履歴書ではなく3Dな履歴書になるように工夫しています。あくまでも私のキャリアに合った書き方であり、すべての人に当てはまるわけではありません。性分に合わない履歴書を作って居心地が悪くなるのなら、履歴書に付属のサンプルをまねて無難に書けばいいのです。独創性は見えてこないけど言われたことをやる人という印象を与えるかも知れません。
大事なのは自分のキャリアが光るような履歴書の書き方を研究するということです。これはガイドをする際、各日本文化や寺社の説明内容を自分なりに工夫する、という作業と共通するものだと思います。
🔸キャリアの具体性を示す職務経歴書
履歴書より大事なのが職務経歴書です。私の職務経歴書は通訳業用と旅行業用を作ってあり、旅行会社に送るものは主にインバウンドのキャリアを具体的に書いてます。
通訳案内士の資格をとって旅行会社に売り込む場合の職務経歴書は、外国人のご案内をした経験があれば明記しますが、未経験でも過去の経験値がガイドに生きるようなものは具体的に書きます。
例えば…
■ホテルのフロント業務やゲストリレーションの仕事
■ボランティアガイド歴やアシスタント業務歴
■商社で海外との交渉や英語のプレゼン経験が豊富などです。
※アサイナーはまったくのド素人よりは多少でも経験のある人を使いたくなるのはもちろんですね。
🔹ボランティアガイド歴の記入は財産
2018年9月 米国4名様
都内観光8時間
(明治神宮/浅草/築地/銀座/渋谷)
2019年7月 香港2名様
東京観光と箱根終日観光
※具体的な業務内容を書きますが、本数が少ないなら訪問箇所などの具体的な内容を書きます。本数が多いなら、いかに経験が豊富かが見えるように書くのもいいです。
アサイナーに「おお、この人けっこう経験ある」と思ってもらえればしめたもの。ボランティア、つまり報酬がでないような仕事には目もくれない人がいますが、もしプライドが邪魔をするのなら、通訳案内士の資格を取る前の下積み時代にボランティアガイドをしておくのも手です。
ボランティアガイドは収入にはならないけど…
■旅行業の経験値になる→職務経歴書に書ける内容をが増える
■練習になる→通訳案内士のデビュー戦は全くの未経験ではない
…ということですね。
🔹アシスタント業の経験はガイドの即戦力!
例)ツアーデスク、新幹線の乗せこみ、バスの配車係、クルーズ等の下船するお客様の誘導など
これはもう強み以外の何物でもありませんね。面接時にも「御社のお仕事は実はアシスタントとしてツアーデスクや空港の送りをやらさせて頂いてます」と言えますね。なのでその詳細を明記しましょう。面接をしてる旅行会社のアシスタントをしたのなら、具体的なプログラム名「●●ツアーの空港送迎等」「ラグビーW杯にて●●ホテルでツアーデスク担当」等です。
さて、これらの名刺や履歴書、そして職務経歴書を各旅行社のツアーのアサイン担当者に渡すことができればラッキーですね。でも一体どこで?
各ガイド協会が主催する新人研修を受ける
関東関西どちらも3日―5日間でもちろん有料です。最近はオンラインもあるようですね。が、私は個人的に下見をかねて、実際にその場に行くような研修を受けてとても良かったと思いました。
関東であれば都内、成田空港、箱根、日光などの観光地をチャーターバスで訪問し、その道中はベテランガイドが講師としてノウハウを説明してくれます。ガイドさんによりツアーの回し方は違いますが、その日の講師のガイドさんがご自分のツアーの回し方や現地でのテクニックを見せてくれて、こんなに有難いことはないと思いました。
研修はもちろん有料ですが、このガイド研修は私はとても有効でした。とりあえずの観光地は回ってくれるし、何と言っても他のガイド仲間と知り合えたことも大きいです。一緒に勉強したり、下見や自主研修をしたり、何人かとは今でも連絡を取り合ってますし、お仕事を回し合うこともあります。
🔸旅行会社のツアー担当者と会うチャンス
研修中の最終日等に旅行会社のアサイナーが招待されていて、名刺を交換する時間を設けてくれている研修があります。これは研修を申込む際に主催のガイド協会にに確認してもいいのではないでしょうか。
近年は様々な機関が新人ガイド研修を行ってますが、内容も目的も様々なようです。観光地での案内のノウハウを学ぶことに重点を置いてる場合もあります。オンラインで行われる研修も、現地に行かずに学べるなんてそれはそれで有効ですね。
が、旅行会社と知り合うチャンスをくれるかどうか、これもガイド研修を選ぶ重要な基準であると私は思います。
ガイドから旅行会社にアプローチする
🔸エージェントの求人や募集に応募する
「通訳案内士、求人」で検索してみました。するとまあまあヒットするんですね。私の時代にはネットはありませんでした。が、現在のネット社会では有効な方法かもしれません。
ただ通訳案内士の募集なのに時給1500円、といった報酬が安いものを見かけます。学生のバイトが時給1200円位くれる今の時代に「外国語と知識を駆使し、責任感もある仕事」なのに報酬で評価してくれない会社?なのではと懸念を覚えます。
こういう仕事を受けて「自分を安売りする」のはどうなのでしょうか?このような旅行会社はおそらく「インバウンド特需でわいて来た新規参入業者ではないか?」との懸念が頭をよぎります。一番の疑問は「一体どのような手配をしてるのか?」と思わずにいられません。
「ガイドを正当に評価せずに機械のパーツのように扱う会社」なら、「お客様に対しても思いやりのないずさんな手配やオペレーションをしてる可能性もある」のです。近年、このようなツアーオペレーターは増えています。
🔸旅行会社に売り込む
大手旅行会社やツアーオペレーターに直接自分から売り込んでいいものか?
実はこれは各旅行会社によると思います。各社の訪日外国人旅行部が新人ガイドの飛び込み営業を受け付けるか?その会社次第です。
かつて大手旅行会社には、どの部署のどなたを尋ねるか?がわからず、取り合えず電話に出た人に伝えたところ電話すら取り次いでもらえない時代もあり、会社によっては「今募集してない」「英語は十分です」等で門前払いだったと聞いたこともあります。
が、コロナで状況も変わり、今年は空前の繁忙期で人手不足です!
小さなエージェントなら担当者と話せる可能性は高いし、ダメならダメで断ってもらえばいいんです。「取り合えず履歴書を送っておいて」と言われたらしめたもの。自慢の名刺、履歴書、職務経歴書を送って「この人けっこう出来るかも」と言わせましょう。
そして結果的に有難がられればいいのですね。が、もし強引な印象を与えているようなら、こちらからのアプローチは見合わせましょう。
🔸同僚からの紹介→責任重大→いい仕事をする
知人の通訳案内士に仕事を紹介してもらう、これはよくあります。旅行会社のアサイナーから「ばるばらさんのお知り合いの通訳案内士さんで、もし優秀な方がいたらご紹介いただける人はいませんか?」と聞かれたことが何度かあります。
または通訳案内士のグループライン等で「アメリカのご家族4名様が●月×日に都内、そして翌日に日光の観光のガイドを探しています」等とお客様からの直のお仕事を回してくれる場合があります。いち早く名乗りを上げて獲得する場合もあれば、私に直接ラインで依頼してくれる場合もあります。
いずれにせよもしそれが初めてのお仕事となるのなら、しっかりと下見と練習をして「経験のないガイドが来たことがお客様にマイナスにならないように」することが大事です。むしろ「ここまでしてもらうとは感謝してもしきれない」となるように頑張りたいですね。それにはやはりしっかりと下準備をしておきたいものです。
大事なのは「紹介してくれた同僚のメンツを潰さない」ということです。逆に「新人の通訳案内士のデビュー戦は、責任重大であるため、かなりいい仕事をしてくれる」事が多いです。結果的にガイドには経験値となるし、お客様も満足してwin winの関係になれれば言うことはありませんね。
下見→すぐに仕事を受けれる状態にしておく
エージェントでガイド不足が発生した場合、「明日ですが行けますか?」とか「来週3日間空いてますか?」などと連絡が来たとします。かなり急です。心構えが…、などと言わず「はい、空いてます、喜んで!」と二つ返事で受けましょう。
他に仕事をしていてどうしても予定を空けられなければ、残念ながらその仕事は他の新人ガイドやノンライセンスガイドに行ってしまいます。他の仕事をしていても3月の下旬くらいから予定を空けておくのも大事です。本年度の復活祭(イースター)は4月9日ですね。もしどこからも仕事が来なければ、決して嘆かずに次の繁忙期を狙います。
名刺や履歴書と職務経歴書を用意して、めでたく旅行会社のアサイナーや企画担当者と面接の機会があれば、「都内、日光、箱根、河口湖はもう下見して案内できる状態です」とか「京都、奈良、広島、姫路は下見してます」と言いましょう。旅行会社から「新人だけど準備できてる人」とみなされ、急な依頼が海外から舞い込んだ時は「先日面接した●●さんにお願いしてみようか」となれば万々歳ですね。
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